5月25日に緊急事態宣言が全面解除されましたが、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で示された「新しい生活様式」に沿った活動を今後も継続していくことが求められます。では、具体的にどのようなことに職場で注意していけばよいのでしょうか?
「新しい生活様式」の中では、国民の一人一人が感染防止の3つの基本である
①身体的距離の確保
②マスクの着用
③手洗いや3密(密集、密接、密閉)を避ける
等の対策を取り入れた生活様式や働き方を実践していくことが重要であるとされています。
また、働き方の新しいスタイルとして、具体的に以下の実践例が示されており、企業の実態に合わせて継続して実践していくことが求められています。
□テレワークやローテーション勤務
□時差通勤でゆったりと
□オフィスはひろびろと
□会議はオンライン
□名刺交換はオンライン
□対面での打ち合わせは換気とマスク
また、3月下旬頃から都市部から地方への人の移動に伴い感染が拡大した経緯もあり、感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は避けるべきとされています。さらに、不要不急の出張は極力控え、オンラインでの会議や営業活動に代替化していくことも重要でしょう。
では、「新しい生活様式」で示されていることだけを実践すれば大丈夫なのでしょうか?
いいえ、他にも注意すべき点がいくつかあります。オフィス環境外で3密環境になっている場所がないかをチェックすることも重要でしょう。
例えば、更衣室・休憩室・喫煙室などは意外と見落とされがちですが、集団感染の発生例があり、短時間の利用でも注意が必要です。
更衣室では人数が集中しないように時間差を設ける、なるべく短時間で利用を済ませる、会話をしないなどの対策が考えられます。
典型的な3密環境である喫煙室については新型コロナ感染症が完全に収束するまでは閉鎖することが望ましいですが、それが難しい場合には最低1メートル以上の対人距離がとれるように利用人数を制限する等の措置も検討する必要があるでしょう。
ダイヤモンドプリンセス号の環境検査ではトイレの床から比較的多くコロナウイルスが検出されており、また比較的多くの従業員が利用する場所ですので、トイレでの接触感染のリスクにも注意が必要です。
トイレで蓋がある場合は蓋を閉めて汚物を流すよう表示する、便座や洗浄レバーなど多数が触れる場所の消毒を徹底することも検討すべきでしょう。
社員寮においても3密環境のチェックは重要です。シンガポールでは、外国人労働者の住む寮での集団感染により感染者数が急増した経緯があります。
国内においても外国人実習生向け寮は必ずしも個室とはなっていないところも散見され、どうしても個室対応ができない場所においてはパーテーションなどで個人のスペースを区切る、30分毎に窓を開けて換気に努める等の対応も検討する必要があるでしょう。
韓国のナイトクラブにおける巨大クラスター発生例もあり、従業員のプライベートにおいても過去にクラスターが発生した場所へ行くことを極力控える等、職場にウイルスを持ちこませないための注意喚起は継続して必要となるでしょう。
このように、緊急事態宣言が解除された後でも、流行前の状態に職場環境を戻すのではなく、「新しい生活様式」に沿って感染予防策を十分にとりながら、企業活動を徐々に再開させていくことが重要であるといえます。