5月25日に緊急事態宣言が全面解除され企業活動が再開されておりますが、来るべき第2波の到来への準備を進めておくことも必要です。第2波も第1波と同様であるとは限らず、感染者数が更に増大する、期間もより長期化するなどの可能性も考えておくべきと考えられます。
5月頃からようやくマスクやアルコール製剤が市中で購入できるようになってきましたが、いつまた入手困難な状況に陥るかは不明です。企業として感染防止対策のために必要な個人保護具を2~3か月分だけでも、この機に備蓄しておくことも重要と思われます。
日本国内の感染者数は7月1日時点で18,545人であり、実際に従業員が感染した経験を持つ企業はまだまだ少数かと思われます。
しかしながら、今後、第2波、第3波と、感染者数が更に増大していった場合、従業員の間で感染者が出る可能性はますます現実味を帯びてくることが予想されます。
このため、各企業において、実際に感染者が出た場合のシミュレーション(職場の消毒、濃厚接触者の対応、感染者の復職、その間の業務継続など)をきちんと検討しておくことが重要です。
また、感染者の復職時に周囲からの差別が起きてしまうと、他の社員が体調不良や感染を言い出しにくい雰囲気が生まれ、それが結果的に職場の集団感染を引き起こすきっかけとなってしまいかねません。
感染者への差別を生じさせないよう会社方針の周知徹底、従業員への教育、復職ルールの適正な運用などを行っておくことも重要です。
今回のような異常事態が長期化することで、従業員におけるメンタルヘルス不調の問題が今後顕在化するリスクも懸念されます。
普段以上に職場の上司は部下の様子に注意を払う必要があり、また、従業員がいつでも相談できる窓口を整備しておくことなども重要です。
業界団体等を中心に作成された業種ごとの感染拡大防止ガイドライン等をベースに、業務の特性に応じた感染対策を各企業で実施しておくことも重要です。
しかしながら、ガイドラインそのものが作成されていない業種も少なからずあること、業種ごとのガイドラインで必ずしも触れていないリスクもありうることを念頭におき、各企業でも業務の特性上のリスクへの対応に漏れがないかをきちんと検証しておくことも必要でしょう。