職場における風疹対策
OHサポート株式会社
代表 今井 鉄平 (産業医)
新型コロナ感染症の陰に隠れていますが、風疹は未だに流行を起こす可能性の高い感染症であり、今、職場における風疹対策が注目されています。
風疹は飛沫感染が主で、感染力はインフルエンザの5倍とされています。発熱・発疹・リンパ節腫脹が主な症状です。発疹が出る前・後の1週間は感染力があります。
風疹の流行については、次の二点が問題となります。
・職場で集団感染を起こしやすいこと
・妊婦が感染することで、生まれた子に重篤な障害が残る(先天性風疹症候群)こと
2つの行動で、職場の集団感染を防ぎ、先天性風疹症候群の子供を減らすことができます。
①風疹かもと思ったら「絶対に職場に行かない、来させない」
②従業員のワクチン接種率を高く維持する
風疹は、2 回のワクチン接種でほぼ防ぐことができます。昭和37 ~54 年までの間に生まれた男性は、風疹に対する予防接種をうける機会がなかった世代です。
これらの方を中心に職場の集団感染を起こす可能性が高く、国としてこの世代の予防接種を推奨しております。
対象年齢の男性には、市区町村からクーポン券が配布されます。まずは抗体検査(血液検査)を受け、十分な抗体がなければ予防接種を無料で受けることができます(下図)。
抗体検査は近隣の医療機関だけでなく、職場での健診の機会に受けることも可能となっております。
健診の機会を活用することで、抗体検査のために追加で血液検査を受けることもなく、医療機関受診のために時間を費やす必要もなくなります。職場の健診担当者は、会社の健康診断を行っている医療機関等に、予約方法をまず問い合わせてみましょう。
そして、対象となる従業員に対して、健診時に抗体検査を受けることの推奨や予約方法のアナウンスを行いましょう。
ぜひこの3年間で、定期健診の機会を利用して、一人でも多くの対象従業員が抗体検査を受け、それにより従業員のワクチン接種率を高く維持できることを目指しましょう。
出典:厚生労働省. 風疹の追加的対策について