がん予防のススメ② ~感染症が関係するがん~
OHサポート株式会社
代表 今井 鉄平 (産業医)
日本人のがんの約2割が、感染が原因であると言われています。これらのがんには胃がん、肝がん、子宮頸がんが含まれており、いずれも効果的な予防手法があります。
検診等の機会を利用して、がん予防に取り組みましょう。
●胃がん
胃がんはピロリ菌の感染が最大の原因で、ピロリ菌の感染がないと胃がんを発症するリスクは極めて低く 、感染者はピロリ菌の除菌をすることで胃がんのリスクを1/3も低減できることが分かっています。
残念ながら除菌後もリスクはゼロにはなりませんが、これは感染によって胃の萎縮が進んでしまうことによります。このため、除菌後も定期的な胃カメラを受け、胃がんの早期発見につとめることが重要となります。
<胃がんの予防手法>
□ピロリ菌の感染の有無を把握する(※)
□感染があればピロリ菌を除菌する
□除菌後も定期的に胃カメラによる定期検査を受ける
※近年、血液検査でピロリ菌感染と胃の萎縮を調べ、将来の胃がんリスクを判定し、リスクが高い方には除菌や胃カメラを勧める「胃がんリスク検診(ABC検診)(図参照)」が各企業や自治体等で行われるようになってきました。
●肝がん
B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)への感染が肝細胞がんの大きな原因となっております。
このうちHCVに対しては抗ウイルス剤の内服によりウイルスを排除できる確率が95%を超え、HBVに対してもウイルスの増殖を抑えることは可能で、肝細胞がんを予防できる時代になってきました。
<肝がんの予防手法>
□HBV、HCVの感染の有無を把握する
□感染があれば抗ウイルス剤を服用し、定期的な専門医でのフォローアップを受ける
●子宮頸がん
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因の多くを占めており、中高生を対象としたHPVワクチンの接種と、癌になる前の状態で発見することを目的とした子宮頸がん検診(子宮頸部細胞診)の組み合わせで、非常に高い予防効果が見込まれます。
図. 胃がんABC検診
出典:樹クリニックホームページ https://www.ituki.com/itsuki/kenshin/igan.html